空のいろ

本、映画、TVドラマの感想を書いてます。悪性リンパ腫になってしまいました

「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ著。 「兵隊人形」という言葉の行方

2017.03.25. 14:30
深冬です。
二夜連続のドラマ「そして誰もいなくなった」。今夜からですね。
アガサ・クリスティ大好きです。
と言いつつ、正直に言います。この原作、読んだことがありません。
昔、海外のドラマか映画で見たきりです。

2016年11月~12月にかけてNHK BSプレミアで放送されたイギリス制作のドラマ「そして誰もいなくなった」は見ました。
記憶がまだ新しいところなので、今回の日本版を楽しみにしてます。

そして。
何を今さらと言われそうですが。
去年のNHK BSで見たイギリス版で最初に「あれ?」と思ったのは、「兵隊人形」です。

昔見た時は、「インディアン人形」だったと引っかかりつつ、ラストも愛し合う男女が生き残って終わりだったなぁ、と思いつつ・・。
こういう原作つきの映像化は、オリジナル通りには作られないものだし、と思っておりました。

が、原作には警察が出て来ていなかっただろうかと、思い出し・・。
あれ、私、この原作読んだかなと、記憶があいまいなのが気になって、ウィキ先生に確認する事に致しました。

すると、知らなかった重大事実が!

記憶にあったドラマだか、映画だかの方は、「戯曲」として作られた「そして誰もいなくなった」でした。

そして「兵隊人形」なのは、「インディアン」が差別用語だから。
この「インディアン人形」も、アフリカ系アメリカ人を差別する言葉から変更されたものだったこと。

確かに今は「インディアン」と言う言葉は聞きません。「ネイティブ・アメリカン」です。
私、アメリカは「インド」じゃないという現在では当たり前の知識の上に立ち、「ネイティブ・アメリカン」と呼ばれるようになったのだと勝手に思ってました。
もっと根深い差別問題を抱えていたのですね。

そして誰もいなくなった」の、この人形の属性が変更されていったのは、時代を超えるベストセラー小説だからこその現象なのでしょう。
けれど、こうして「差別用語使用の推移」の歴史が残っていくことは、私のように「それって知らなかった」という人に、忘れてはいけないことを教えてくれる意味のある事だと思います。

今選ばれている「兵隊 Soldiers」という言葉は、適切なのでしょうか。
戦場で傷つき、トラウマを抱えている兵士、元兵士が多くいることを思うと、この言葉が不適切とされる世の中がくるかもしれません。


そんなことを思いつつ、ウィキペディアの「そして誰もいなくなった」のページを閉じました。


さて、ドラマを楽しむのは、また別の話。
楽しみにしてます。




Amazon:
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)