空のいろ

本、映画、TVドラマの感想を書いてます。悪性リンパ腫になってしまいました

「赤毛のアン」が嫌いでも、「アンの友だち」と「アンをめぐる人々」は楽しめると思う

2017.4.6.
深冬です。
11才の時に初めて読んでから、「赤毛のアン」が大好きです。

カナダ、プリンスエドワード島のアヴォンリーという村にあるグリンゲイブルスという屋号の農場を持つマシューとマリラの兄妹。働き手になる男の子を引きとるつもりだったのに、どこかで間違いが起こって、女の子がやって来た。
その子がアン。それまで常に働き手として扱われ、楽しい想像をすることだけが生きる糧だったアンが、堅実な家に引き取られ、失敗を重ねながら、一人前の女性になって行く物語です。


「アン、大好き」って人、多いと思いますが、そうでない人も当然います。

私の知り合いにも、「アンって、あんまり好きになれない」っていう人がいます。

宮崎駿監督もアンがお好きでなかったようですね。
宮崎監督のヒロインは、上品ですものね。アンを見てたらイライラしたことでしょう。

そう、イライラする感じ。
私は、かなり大人になってから、よくわかりました。

アンを最初に読んだのは、物語の初めの頃のアンと同じ年齢でしたから、アンが大失敗を重ねたり、そこから挽回したりする姿に、わくわくしてました。

再読したのは、二十歳ぐらいの時です。
この時、マリラやマシュー、リンド夫人という脇役の大人の登場人物の目線で物語を読んでる自分に気づいて、歳を取るって面白いと思ったものです。

次の再読は、三十歳。
突拍子もないことをするアンを育てるマリラを、すごいと思いました。

そして四十代で再読した時には・・
確かにイライラしました。そう思ってしまった自分に、ショックを受けた次第です。
すぐに想像の翼を広げるアンは、言いつけを忘れたり、先延ばしにしがちだです。嘘をつく事の重大さも、最初の頃は分かっていませんでした。
そんなアンを書いた著者モンゴメリーがすごい。

赤毛のアン」はやっぱり大好きです。

そしてアンが好きでない方にお勧めしたいのが、「アンの友だち」と「アンをめぐる人々」です。

邦題は、「アンの・・・」となっていますが、原題は違います。
「Chronicles of Avonlea」と「 Further Chronicles of Avonlea」なのです。
この二冊は短編集で、アンは数編に登場するだけです。


モンゴメリーが綴った言葉で、情景が現れ、心情が浮かんで、その場所に連れて行かれてしまいます。
深いため息をつきたくなるような話もあれば、自然に笑顔になれる話もあります。
短編だから、どの話から読んでも大丈夫。
登場人物は、いろんな意味でクセのあるひとばかり。でも誰しもそういうところは持っているのではと思います。


私が好きな話は。
「アンの友だち」では、「“かわいいアンジェリーナ”」
「アンをめぐる人々」では、「母さんとの約束」


お気に入りといえる一編を、見つけてもらえたら幸いです。


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